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「モチイエ女子」、ありだと思う。

つい最近まで、女性がひとりで家をもつって
ごく少数派で、ちょっと変わってると思われていた。
マイホームをもつことは、家族の幸せと考えられていた。

いったい誰がそんなことを決めたんだろう。

女性が家をもつって、あんがいあたりまえじゃない?

そんな声が聞こえてきそうなほど、
今、ごくフツーの女子たちが、じぶんの家を買う時代になっています。

家というホームグラウンドを手に入れ、
これまで以上にパワフルに、イキイキと輝いてる「モチイエ女子」。

そんな新しい女性たちが増えれば、この国はもっともっと元気になるから。
なによりそんな未来が、素敵でおもしろそうに思うから。
私たちはこの「モチイエ女子project」を通し、
その生き方、あり!と宣言します。

モチイエ女子web

お知らせ

モチイエ女子webにて、エッセイなど多数寄稿いただきました 雨宮まみさんがご逝去されました。心からお悔やみを申し上げます。 感謝と哀悼の意を込めまして、これまでの雨宮さんの作品、およびご出演いただいたコンテンツは、このまま掲載させていただきます。 どうか、ご愛読いただけますと幸いです。

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.4

引っ越し&リノベーションのベテラン、ひうらさとるさんのお宅拝見! [前編] リノベで修正しにくいのは「壁と床」!

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.4

マンガ家のひうらさとるさんとは、数年前に知り合った。その頃は兵庫県豊岡市の山のほうのお家に住んでらして、たまに写真で見せてもらうその家は、なんだか別世界のようだった。
けれど、それよりも驚きだったのは、2011年までひうらさんは東京在住で、青山のど真ん中に居を構えていたということだった。どうしたら青山から山の中にいきなり引越しができるんだろうか。そして昨年、旦那様の田口幹也さんが城崎アートセンターの館長に就任されたため、今度は城崎に古い家を見つけ、リノベーションして住むのだという。

ひうらさんは、ちょくちょく東京にも来ているし、旅行も多く、もともとフットワークの軽い人なのだというのはわかる。
わかるんだけど、家のことも、そんなにフットワークを軽くできるものなんだろうか。
私は、家のことになるとすごく足も気も重くなるし、賃貸でも「本当にこの家でいいんだろうか」と心もとない気持ちになる。さらに「モチイエ」なんていうことを考えるともう「失敗できない」「取り返しがつかない」というプレッシャーで潰れそうになってしまう。
そんな私には、いつも楽しそうに、違った場所で違った暮らしをしているひうらさんが、とても眩しく見えた。
住まいのことを「楽しむ」、ひうらさんの考え方を教えてもらったら、少しは私も家のことを「楽しく」考えられるようになるんじゃないか、と思い、リノベーション中の城崎のお宅にお邪魔して、住まいについての考え方をうかがってみた。

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.4

一ヶ月ビジネスホテル暮らしをしてみて「住める」と思った

まず、最初に東京から兵庫県の豊岡に引っ越されたのは、小さいお子さんがいらして、震災後の東京のパニックがあったからというのもありますよね。そのときはなぜ豊岡を選ばれたんですか?
「主人の実家が豊岡の住宅地で、その近くでもいいなと思ってたんだけど、東京の真ん中から豊岡に引っ越すわけだから、思いっきり田舎暮らしがしてみたくなったんですよね。それで、山のほうの別荘地を見に行ったらすごく良くて、最初は夏だけ過ごすつもりで貸し別荘を探してたんです。そしたら、貸し別荘はなくて」
売りしかないと。
「そうなんです(笑)。だったら安い別荘を買って、リノベーションしてみるのもいいかなと。
豊岡に来て、最初はもちろん家も見つかってないから、ビジネスホテルのスイートルームとは名ばかりの二部屋ある部屋を借りて、そこで一ヶ月過ごしてみたんですよ。ご飯は主人の実家に食べに行ってて。それまでは仕事も、東京ではアシスタントさんが4、5人集まって一緒に作業してたんですけど、スカイプで指示してデータを送る方法に変えて。資料はamazonでホテルに送ってもらって、ホテルのマットレスがへたっててつらかったから、どうせ引っ越したら買うつもりだったマットレスをホテルに送ってもらって生活してたんです(笑)。それで一ヶ月分の連載が乗り切れたっていうのが自信になって、『あ、ここでも全然やっていけるな』って思って、夏だけじゃなくて豊岡に住んでみよう、っていうことになったんです。こっちに来てから、車の免許も取ったりしましたよ」

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.4

リノベーションをするのは、それが初めてでした?
「いや、東京で何度か経験してましたね」
リノベーションって、どういうふうに決めていくものなんですか?
「うちは、リノベーションはPUDDLEの加藤匡毅さんにずっとお願いしてるので、家族がどういう生活パターンなのかもわかってもらってるし、家具も同じものを使ってるので、家のことを把握してもらってるから、わりとお任せしてますね。
でも実際に施工に入って『ここの天井ぶち抜いて下さい』とか言ってると、地元の施工のおじさんが『いやいや、寒いで!?』と言ってくれることもあって、気候については地元の人のほうが詳しいから、そういう意見も聞いて断熱材を変えたり、調整しながら進めました」
かなり大掛かりな作業になりますね。細かい部分はどうやって決めてますか?
「まず、経験上、収納は多いほうがいい! それも、見せない収納と見せる収納を分けるのが大事。全部しまいこんじゃうと、どこに何が入ってるかわからなくなっちゃうから、見せる収納は一覧できるようにしておく。今回後悔があるとすれば、コンセントがちょっと足りなかったかなと(笑)。「枕元にiPhone充電用のコンセントをつけて!」っていうのは言ってたんですけど、それ以外のことをあまり考えてなかった(笑)。
あと、見積もりを見て温水暖房をちょっと減らしちゃったんですけど、使ってみたらこれがすごく良くて、ずっとつけっぱなしで良くて、気温が零下の日でもいい感じにほんわかあったかいんですよ。これはケチらずにつけておけばよかったと思いました」

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.4
理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.4

A 家の裏側は、岩肌が見える山。湿度が高いため、山側の壁は二重にして、中に換気扇を入れている。寝室の壁には珪藻土を使い、湿気を吸い取らせている。じめじめした感じはまったくない。

B もともとの建物が良い建物だったため、木材はそのまま活かしたり、ドアにして再利用したりしている。古い木材の味わいが出て、落ち着いた雰囲気に。

C 昔は、温泉街の芸妓さんたちが集まり、芸事の稽古などをしていた場所だったそう。芸事のための舞台を、高さを低めにしたまま残して、ソファを置いたくつろぎスペースに。たまにお子さんたちが漫才をしているとか……。

D ひうらさんが「すごく気に入った」と言う温水ヒーター。間仕切りのない広い空間なのに、陽だまりの中にいるような暖かさ。

これだけは絶対に外してはいけないポイントってあります?
「リノベーションも場数を踏むと、たいていのことはなんとでもなるって感覚になるんですけど、あとでなかなか変えられないのは、壁と床です。壁の色はいくらでも変えられるんですけど、素材とかはなかなか変えられないので。マンションの場合は、特に床ですね。下に音が響くので床は重視してました。細かいことですけど、ドアがバタン! と閉まる音もかなり下に響くので、あまり音がしないドアを選んだりしてましたね」
自分がリノベーションすることを考えると、どういう家にしたいか、はっきりイメージできない人も多いと思うんですが。
「そうですよね。ただ、建築家の方はプロなので、自分の譲れない部分を伝えて、自分の生活の動線、生活のスタイルを伝えてみると、それに合ったものを提案してくれるので、それを聞いてみるのもいいんじゃないですかね。うちも最初、部屋の壁にグレーを提案されて『なんでグレー? しかも濃くない? 白のほうがいいんじゃない?』とか思ってたんですけど、実際に塗ってもらったらすごく落ち着いて、家具も映えるし、すごく良かったんですよ。私の言う通り白にしてたら、カフェみたいな部屋になってたと思います(笑)」

文=雨宮まみ

雨宮まみ

ライター。編集者を経てフリーのライターになり、女性としての自意識に向き合った自伝的エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を上梓、「こじらせ女子」が2013年度の新語・流行語大賞にノミネートされる。 著書に、対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)、『ずっと独身でいるつもり?』(ベストセラーズ)、『女の子よ銃を取れ』(平凡社)など。

プロフィール写真=松沢寫眞事務所

メレ山メレ子

メレ山メレ子

ブロガー/エッセイスト。平日は会社員として勤務。旅ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」にて青森のイカ焼き屋で飼われていた珍しい顔の秋田犬を「わさお」と名づけて紹介したところ、映画に主演するほどのスター犬になってしまう事件に見舞われた。やがて旅先で出会う虫の魅力に目ざめ、「ときめき昆虫学」(イースト・プレス)を上梓。現在は亜紀書房のWebサイト「あき地」にて、「メメントモリ・ジャーニー」連載中。http://www.akishobo.com/akichi/mereco/

プロフィール写真=川瀬一絵

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