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「モチイエ女子」、ありだと思う。

つい最近まで、女性がひとりで家をもつって
ごく少数派で、ちょっと変わってると思われていた。
マイホームをもつことは、家族の幸せと考えられていた。

いったい誰がそんなことを決めたんだろう。

女性が家をもつって、あんがいあたりまえじゃない?

そんな声が聞こえてきそうなほど、
今、ごくフツーの女子たちが、じぶんの家を買う時代になっています。

家というホームグラウンドを手に入れ、
これまで以上にパワフルに、イキイキと輝いてる「モチイエ女子」。

そんな新しい女性たちが増えれば、この国はもっともっと元気になるから。
なによりそんな未来が、素敵でおもしろそうに思うから。
私たちはこの「モチイエ女子project」を通し、
その生き方、あり!と宣言します。

モチイエ女子web

お知らせ

モチイエ女子webにて、エッセイなど多数寄稿いただきました 雨宮まみさんがご逝去されました。心からお悔やみを申し上げます。 感謝と哀悼の意を込めまして、これまでの雨宮さんの作品、およびご出演いただいたコンテンツは、このまま掲載させていただきます。 どうか、ご愛読いただけますと幸いです。

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.3

老後まで考えて、どのくらいのマンション狙えますか?

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.3

“老後資金”はいくらあれば安心?

「マンション購入のためのセミナーを受けてみませんか?」という話をいただいたとき、私は乗り気だった。「マンションを購入するとして、どういうところが気になりますか?」と事前に質問を受け、迷わず「老後資金との兼ね合い」と答えた。
自分がマンションを買いたい、と最初に思ったとき、実際に不動産屋さんに相談に行った。
困ったのが、この質問である。
「自己資金はどのくらいおありですか?」
私にも、わずかながら貯金はある。しかし、その貯金のうち、いくらを残しておけば安心なのか、さっぱりわからなかった。頭金などの初期費用に、いくらまでなら使っていいのか。
「先々のためのお金」は、いくらぐらいで考えておけば安心なのか。その目安が見当もつかなかったのだ。
私の老後はおいくらなんですか? そして、おいくらぐらいのマンションなら視野に入れても安心ですか? というのが、私の主な興味だった。

そこで、「ライフプランから考えるモチイエ女子住宅購入セミナー」という講義をしていただいた。
私の収入は安定していないので、年収350万で30歳のA子さん、年収450万で40歳のB子さんという人物がいると仮定して、それぞれのライフプランを立てて、説明をしてもらった。
まず単身の場合の老後資金の目標は一般的に2000万。それをふまえた上で、「だいたいどのくらいの年収で、どのくらいのモチイエが視野に入ってくるのか?」を検討するためのモデルプランとして、年収350万のA子さんには2500万の新築物件、年収450万のB子さんには3500万の新築物件を提示された。

ライフプランというのは、生涯のお金の収支をトータルで考え、大きな視点で見ることで有効にお金を使い、人生でやりたいことを達成するにはどうすれば良いのかを具体的に考えるものである。

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.3

大きな視点で生涯のお金の収支を考えるメリットとは?

ロングスパンで考えることで、どういうメリットがあるかというと、例えば住宅関係ならば、特に住宅ローンはどういう借入れ計画、返済計画を立てるかによって、金利を含めた返済総額がかなり変わってくる。物件や自分の条件により、メリットのあるローンの選び方もあるし、親などから援助を受けるにしても、贈与税のかからない援助の受け方がある。
買う前に知っておいたほうがいいこともある。例えば50㎡以上の面積の物件の場合、住宅ローン控除が受けられるのだ。
トータルで考えていくと、そうしたことを知っている場合と、知らない場合とでは、とても馬鹿にならない金額の差が出てくる。
もちろん、そのためのセミナーなのである。知らなくて損することを減らし、知っていれば得をする情報を得た上で、少しでも安心で無理のない返済・貯蓄プランを一緒に考えてもらえるのがライフプランの個人セミナーなのだ。

これだけ長期のプランを立てるとなると、前提になるのは「正社員」であり、「辞めない」ことである。その収入額を基準に、支払い可能なローン、老後資金の貯蓄を行ってゆく。そして年金がもらえる年になるまでにローン完済、貯金2000万、になっていることをゴールとしてプランを作ってある。
モチイエがあり、家賃は支払う必要がなく、国民年金と厚生年金があって、予備に2000万のお金がある、という状態だ。女性の平均寿命まで、これで生きてゆけるだろう、また、いざとなったらモチイエを処分してお金を作ることもできる、というプランである。

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.3

同条件で結婚した場合、出産した場合のライフプランも作ってもらっていた。どちらが楽かとは言えない。共働きで収入は増えるが、子供の教育資金が増えてくる。買う家も人数に合わせて広い物件になってくる。
こうした差や、お金をいつどう動かすか、どのタイミングで買い、どのタイミングで繰上げ返済をしていくか、ということをグラフになった状態で見て、得な方法を指摘してもらうのは、とても面白い体験だったし、買うなら一度はこのくらい徹底的に知り、考えてみるべきだと思った。
お金は動くもので、それをいつどう動かすか、ということに、正解はなくても、その人に合わせたベストな方法というのはあるのだな、と感じられた。

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.3

ライフプランを考えると人生が豊かになる

非常にためになるセミナーだと感じる一方で、私の気分はどんどん重くなり、私はこのセミナーの翌日、ちょっと寝込んでしまった。
人生を直視するのが、こんなに重いことだとは……という感じである。
いつまでこの仕事ができるかわからない。来年の年収の見当もつかない。10年後、20年後なんて予想するのは不可能だ。ローンは組めないし(私のようにフリーだからといって一概に組めないわけではないが、一度相談に行って、現状では無理だと断られている)、退職金もない。そのうえ、厚生年金がない。私の老後資金は、2000万なんかじゃとてもやっていけない。どこからどう見ても、来年の収入すらわからないのに、ライフプランを立てようがない。
しかも、仮に作ってもらったライフプランを見ると、収支がきっちりしている。無駄遣いとかそういうのはないということになっている。たとえ私に固定収入があったとしても、こんなにきちんと暮らせるのだろうかという疑問も湧いてくる。

正直に言うと、私はフリーになってから、長生きするお金なんかどこをどうひねっても出てこないんだから、早めに死んだほうがいいんじゃないか、と長い間思っていたし、いまも半ばやけっぱちでそう思うことがある。それは、ただ悲惨な話というわけではなくて、そう思うことで考えるのが怖い未来から一瞬心を遠ざけることができていたのだ。人生をいい加減に考えること、いつ何が起きるかわからないんだから、考えても仕方がないのだと、考えることを放棄することで自分の心を守ってきた、と言ってもいい。

でも、そんな生活だからこそ、老後のために家が欲しいと今、思っている。
せめて家さえあれば、額の少ない国民年金であっても、なんとかやっていける希望が見えるのではないかと思うのである。

理想の部屋まで何マイル? 特別編  Vol.3

ライフプランを考える意味は、人生を豊かにするためだと私は思う。家を持ちたいとか、安心できる老後を迎えたい、とかいう具体的なことだけではなくて、そうした目標や計画を持ち、具体的に可能である数字を示されることで、それを達成するまでの間の長い期間、どれほど心が支えられることかと思った。

だったら、私は私なりに、自分に可能な範囲で、「安心できる老後」の目標や、先々に家を持つ目標を、持ってもいいのではないだろうか。 そういう前向きな気持ちが、私を少しは安心させてくれはしないだろうか。

早速来月のカードの支払い額が大変なことになっており、借りている部屋の契約更新が迫っている今、前向きな気持ちになるのは非常に難しいが、初めて私は「長生きするかもしれない人生」のことを、前向きに考えようとしている。遠いはずだった40代を目前に控え、この先に続く50、60、70、80……。楽にやっていけるとは思わないが、自分なりに楽しんでやっていける道を探したい。

文=雨宮まみ

雨宮まみ

ライター。編集者を経てフリーのライターになり、女性としての自意識に向き合った自伝的エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を上梓、「こじらせ女子」が2013年度の新語・流行語大賞にノミネートされる。 著書に、対談集『だって、女子だもん!!』(ポット出版)、『ずっと独身でいるつもり?』(ベストセラーズ)、『女の子よ銃を取れ』(平凡社)など。

プロフィール写真=松沢寫眞事務所

メレ山メレ子

メレ山メレ子

ブロガー/エッセイスト。平日は会社員として勤務。旅ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」にて青森のイカ焼き屋で飼われていた珍しい顔の秋田犬を「わさお」と名づけて紹介したところ、映画に主演するほどのスター犬になってしまう事件に見舞われた。やがて旅先で出会う虫の魅力に目ざめ、「ときめき昆虫学」(イースト・プレス)を上梓。現在は亜紀書房のWebサイト「あき地」にて、「メメントモリ・ジャーニー」連載中。http://www.akishobo.com/akichi/mereco/

プロフィール写真=川瀬一絵

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