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「モチイエ女子」、ありだと思う。

つい最近まで、女性がひとりで家をもつって
ごく少数派で、ちょっと変わってると思われていた。
マイホームをもつことは、家族の幸せと考えられていた。

いったい誰がそんなことを決めたんだろう。

女性が家をもつって、あんがいあたりまえじゃない?

そんな声が聞こえてきそうなほど、
今、ごくフツーの女子たちが、じぶんの家を買う時代になっています。

家というホームグラウンドを手に入れ、
これまで以上にパワフルに、イキイキと輝いてる「モチイエ女子」。

そんな新しい女性たちが増えれば、この国はもっともっと元気になるから。
なによりそんな未来が、素敵でおもしろそうに思うから。
私たちはこの「モチイエ女子project」を通し、
その生き方、あり!と宣言します。

モチイエ女子web

モチイエ女子project × tofubeats 「すてきなメゾン feat.玉城ティナ」
コラボ記念フォトノベル

妄想メゾン

稀代のトラックメイカーtofubeatsと、モチイエ女子projectがコラボ!
歌姫に玉城ティナを迎え、モチイエ女子をイメージしたオリジナル楽曲「すてきなメゾン feat.玉城ティナ」が完成しました。
モチイエ女子webでは、必見のミュージックビデオと、スピンオフとしてショートストーリー「妄想メゾン」をお届けします。

 

妄想メゾン Room 3

私は、一人暮らしの叔母の家に遊びにいくのが何よりも楽しみな子供でした。
彼女はその頃、古いマンションの一室に住んでいました。玄関のたたきには真っ赤なタイルが貼ってあって、収納棚に収まりきらない色とりどりのハイヒールの靴がそこに並んでいました。玄関脇の棚の上にはドライフラワーを差したアンティークのガラス瓶やポプリを入れた器が置かれていて、奥には額に入れたロートレックのポスターが立てかけてありました。靴を脱ぎ、当時としては珍しかったモロッコ製のスリッパに履き替えて、薄い文庫本用の本棚が並ぶ細い廊下を抜けると、そこにあるのは彼女のパラダイスです。
いつもきちんと片付いている我が家と違って、叔母の部屋は乱雑でした。コーヒー・テーブルの上はアート・ブックや読みかけのファッション雑誌でいっぱいだったので、私たちはカーペットの上にマグカップとお菓子を盛った器を乗せたティー・トレーを置いてお茶を飲みました。古い皮のソファは飼い猫のコニーが引っ掻くせいで所々裂けていましたが、叔母はバティックの布を適当にかけて傷をごまかしていました。私はこのソファに寝そべって、童話の本やマンガを読むのが大好きでした。自分の家だったら、そんなお行儀の悪いことは決して許されません。見たこともないようなスパイスを入れた小瓶が並ぶキッチンで叔母が作ってくれるおやつも大好きでした。叔母は赤ワインで煮た桃や、パウダー・シュガーとレモンをふった薄いクレープをよく出してくれました。

両親が都合で家を空けなくてはいけなかった時に、この叔母の家に泊まったこともあります。叔母はお風呂をいい匂いのするバブル・バスにしてくれました。私がそこに浸かってうっとりとしていると、「甘やかしてあげるわ」と言って叔母がバスルームに入ってきて、ティー・カップによそったバニラ・アイスクリームをくれました。お風呂で食べるアイスは背徳を感じるほどの美味しさです。これが自由の味なんだと思いました。私はティー・カップの底に溜まった溶けたアイスを飲み干し、大人になったら絶対に叔母のように一人暮らしをしようと決めたのです。
一度、叔母の部屋に行く途中、同じ階の別の部屋のドアが開いているのを見かけたことがあります。何気なくのぞいてみて、びっくりしました。ベージュのカーペットが敷いてある廊下も、ビニール張りのたたきも、何もかも平凡な普通のマンションの玄関がそこにあったからです。

「あの子、独身なのにあのマンション、ローンを組んで買ったのよ。だから好きに改装が出来るの」とうちの母が言っているのを聞いて、私は本当に自由に、自分の好きなように暮らしたいのならば、ただ家を出て独り立ちをするだけではなく、自分で部屋を買えるようにした方がいいのだと思い至りました。そんな夢を抱いてから、実際に自分のマンションの一室を手にいれるまで、結構な時間がかかりました。
私はキッチンから、六人掛けのダイニング・テーブルと食器棚があるダイニングを眺め、思い出にため息をつきました。今日は両親と大好きな友人を招いて、ディナーをご馳走することになっています。
ステンレス製のU字型のキッチンは、とりわけ奇抜でも華麗でもない私の部屋の、唯一の自慢です。リビングを向いた方に対面式のシンクとコンロが備え付けてあっただけの元々のキッチンに、大きく手を加えたのです。どうしてもガス・オーブンを入れたかったので、冷蔵庫の位置をずらして奥にコンロとガス・オーブンを置き、壁に沿ったステンレスの台にはミキサーやコーヒー・メーカーを置いて、下部に鍋を収納する棚を作りしました。ダイニングを向いたシンクの隣は、パンやお菓子が作れるように作業スペースを広く取り、その下にカトラリーやスパイス類をまとめた引き出し式の棚と食洗機が収まるようにしてあります。ダイニングに面した側にはシンクと同じ高さの本棚を置いてレシピ本を並べました。

今日のメインはロースト・チキンです。ハーブ・ペーストを塗った丸鶏は既にオーブンの中にあります。あと十分したら、一度ひっくり返さなくてはいけません。あとはトマトのクロスティーニと、サラダと、自家製レバー・ペーストとバケット。ワインは友人が持ってきてくれることになっています。「人を招く時は、キッチンにこもりきりになるような難しい料理はダメ。事前に作っておけるか、シンプルなメニューでないと。主催者もテーブルを囲んで楽しむの」というのは昔、叔母から教わったことです。

あの頃の叔母はヨーロッパや中東の蚤の市で見つけてきた小物をブティックや雑貨屋に卸して、それで収入を得ていたようですが、商才があったことは間違いありません。その後、彼女は自分で改装したあのマンションの部屋を上手に売り抜いて、そのお金を手にアメリカに渡ってしまいました。今日は久しぶりに日本に帰国した叔母も招いています。
デザートにはローストした杏や桃にバニラ・アイスを添える予定。私が手に入れた自由の味を、叔母も分かってくれるでしょうか。

山崎まどか

山崎まどか

コラムニスト・ライター・翻訳家。雑誌『Olive』にて連載を持ち、2002年単行本「オードリーとフランソワーズ」を刊行。
「女の子」独自の目線で本や 音楽、映画などのカルチャー情報をセレクトし紹介するコラムを様々な女性誌、カルチャー誌に執筆。
近著に「オリーブ少女ライフ」、「ヤング・アダルトU.S.A.」

タイアップ楽曲

tofubeats – すてきなメゾン feat.玉城ティナ ミュージックビデオ

tofubeats

1990年生まれ、トラックメイカー / DJ。
学生時代からインターネットで活動を行い、ジャンルを問わず様々なアーティストのリミックスやプロデュース、楽曲提供を行う。9月16日豪華アーティストをゲストに招いたアルバム「POSITIVE」をリリース。

玉城ティナ

モデル。1997年生まれ。講談社主催の「ミスiD2013」で初代グランプリに輝き、14歳で講談社「ViVi」の最年少専属モデルとなる。CM、ドラマ、映画など多方面で活躍中。

「モチイエ女子project」公式Facebookページ「モチイエ女子Park」
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